5大基礎能力について
はじめに
お子様やご自身のスポーツパフォーマンス向上に真剣に取り組む皆様へ。
「うちの子は運動神経が…」「なかなか記録が伸び悩んでいて…」
スポーツに取り組む中で、このような悩みを抱えたことはありませんか?
実は、スポーツにおけるあらゆる動作の根幹をなす「5大基礎能力」を理解し、効果的にトレーニングすることで、運動能力は飛躍的に向上する可能性があります。
さらに、これらの能力は「神経科学」と「解剖学」という2つの学問的な視点から深く理解することで、トレーニングの効果を最大限に引き出すことができます。
本記事では、長年スポーツ指導に携わる専門家の視点から、5大基礎能力の重要性、具体的な内容、そして効果的なトレーニング方法について、「神経科学」と「解剖学」の知見を交えながら、分かりやすく解説します。
この知識を身につけることで、お子様の才能を最大限に引き出すためのヒント、そしてご自身のパフォーマンス向上のための道筋が見えてくるはずです。
1.5大基礎能力とは?
スポーツに必要な5つの要素と、それを支える「神経科学」と「解剖学」
スポーツにおける5大基礎能力は、以下の5つの要素を指します。これらの能力は、単独で存在するのではなく、私たちの「神経科学(脳や神経系の働き)」と「解剖学(体の構造と機能)」によって支えられています。
- ① 走る・跳ぶ能力(移動能力・跳躍力)
- ② 投げる・打つ能力(操作性・巧緻性)
- ③ 受け止める能力(吸収力・安定性)
- ④ バランスを取る能力(平衡性・体幹)
- ⑤ 力を出す能力(筋力・瞬発力)
どんなスポーツの動きも、これらの5つの基礎能力が複雑に組み合わさり、さらにそれを「神経科学」がコントロールし、「解剖学」が実行することで成り立っています。

2.なぜ5大基礎能力と、それを支える要素が重要なのか?
5大基礎能力をしっかりと身につけ、さらにその背景にある神経科学や解剖学的な理解を深めることは、スポーツパフォーマンス向上において非常に重要な意味を持ちます。
- パフォーマンスの向上: 土台となる基礎能力が高まるだけでなく、状況を正確に「神経科学的」に捉え(例えば、視覚情報処理や判断力)、体の「解剖学的」な仕組みを効果的に使うことで、より高度で安定した技術を発揮できます。
- 怪我の予防: バランス能力や受け止める能力に加え、適切な身体の使い方(解剖学的知識に基づく)を習得することで、無理な体勢での動作や衝撃に対する耐久性が高まり、怪我のリスクを軽減することができます。
- 成長の促進: 特に成長期のお子様にとって、様々な動きを通して基礎能力を養うことは、将来的な運動能力の発達に不可欠です。特定のスポーツに偏らず、多様な動きを取り入れることで、バランスの取れた成長を促します。
- 生涯スポーツへの基盤: 若い頃に培われた基礎能力は、大人になってからも様々なスポーツを楽しむための基盤となります。健康維持や体力向上にも繋がり、豊かなスポーツライフを送る上で重要な要素となります。
3.5大基礎能力を構成する要素とトレーニング例:神経科学と解剖学の視点から
それぞれの基礎能力をさらに深く掘り下げ、それを支える神経科学的、解剖学的な要素、具体的なトレーニング例を紹介します。
3.1.走る・跳ぶ能力(移動能力・跳躍力)
- 構成要素: スピード、敏捷性、持久力、リズム感、跳躍力など
- 神経科学との関連: 空間認知能力(周りの状況を把握し、衝突を避ける)、リズム感(動きのタイミングを捉える)、運動計画と実行
- 解剖学との関連: 脚部や体幹の筋力(筋力、瞬発力)、腱や靭帯の弾力性、心肺機能(持久力)、骨格構造
- トレーニング例:
- 走る: 短距離ダッシュ、反復横跳び、シャトルラン、長距離走
- 跳ぶ: 縄跳び、ケンケンパ、階段の上り下り、垂直跳び、幅跳び(特に跳躍力強化を意識したトレーニング)
- 遊び: 鬼ごっこ、かけっこ、トランポリン

3.2.投げる・打つ能力(操作性・巧緻性)
- 構成要素: 腕力、肩の強さ、手先の器用さ、正確性、ボールコントロールなど
- 神経科学との関連: 視力(特に動体視力)、深さの知覚(距離感)、触覚(ボールの感触)、ターゲットへの集中力、運動制御
- 解剖学との関連: 腕、肩、体幹の協調した動きと筋力、関節の可動域、筋肉の出力
- トレーニング例:
- 投げる: キャッチボール、壁当て、的当て、ボール投げゲーム(正確性やコントロールを意識)
- 打つ: ボールつき、バットやラケットを使ったボール打ち、的当て(動体視力を意識した動く的)
- 遊び: ドッジボール、フリスビー、お手玉


3.3.受け止める能力(吸収力・安定性)
- 構成要素: 動体視力、反応速度、体の柔軟性、衝撃吸収力、体幹の安定性など
- 神経科学との関連: 動体視力(飛んでくる物体の軌道を捉える)、聴覚(声や音による判断)、危険察知能力、反応時間
- 解剖学との関連: 体幹深層筋の安定性、関節の柔軟性、クッションとなる筋肉の働き、体の構造
- トレーニング例:
- ボールを使ったトレーニング: キャッチボール(様々な方向や強さで、視線を追うトレーニング)、バウンドボールキャッチ、フライングディスクキャッチ
- 体を使ったトレーニング: 受け身、マット運動、バランスボール
- 遊び: ドッジボール(逃げる、キャッチする)、風船バレー



3.4.バランスを取る能力(平衡性・体幹)
- 構成要素: バランス感覚、体軸の安定、姿勢制御、空間認知能力など
- 神経科学との関連: 平衡感覚(三半規管からの情報)、固有受容感覚(体の位置や動きを感じる感覚)、視覚からの情報(安定した視点を見つける)、小脳の機能
- 解剖学との関連: 体幹筋群の協調性、足裏の感覚器、関節の安定性、骨格構造
- トレーニング例:
- 静的バランス: 片足立ち、一本橋渡り、平均台
- 動的バランス: ジグザグ走り、ケンケン、スキップ、回転運動
- 体幹トレーニング: プランク、腹筋、背筋、スクワット
- 遊び: ブランコ、シーソー、竹馬


3.5.力を出す能力(筋力・瞬発力)
- 構成要素: 筋力、筋持久力、瞬発力、パワー、爆発力、スピードなど
- 神経科学との関連: 運動イメージ(どの筋肉に力を入れるか)、集中力、運動単位の動員
- 解剖学との関連: 骨格筋の太さや収縮速度、神経伝達速度、筋繊維の種類(速筋、遅筋)、筋肉の構造
- トレーニング例:
- 筋力トレーニング: 腕立て伏せ、腹筋、背筋、スクワット(正しいフォームでの実施)
- 瞬発力トレーニング: 短距離ダッシュ、ジャンプスクワット、メディシンボール投げ(爆発的な動きを意識)
- 遊び: 押し相撲、綱引き

4.年代別・レベル別のトレーニングのポイント
5大基礎能力のトレーニングは、年齢やスポーツレベルに応じて適切な方法で行うことが重要です。
- 幼児期・小学生: 特定のスポーツに特化せず、様々な遊びを通して、5つの基礎能力をバランス良く養うことを意識しましょう。楽しさを重視し、色々な動きを経験させることが大切です。
- 中学生・高校生: 基礎能力の向上に加え、競技特性に合わせたトレーニングを取り入れ始めます。専門的な技術練習と並行して、基礎能力を強化するトレーニングも継続することが重要です。
- 大人・プロ: より専門的で高度なトレーニングが中心となりますが、基礎能力の維持・向上もパフォーマンス向上には不可欠です。定期的な基礎トレーニングを取り入れることで、怪我の予防やパフォーマンスの維持に繋がります。
5.親御さん・指導者の方へ
お子様のスポーツ能力を伸ばすためには、親御さんの理解と適切なサポートや指導者の各専門競技の技術スキルと学術面の専門スキルが不可欠です。(指導者の場合、学術スキルの方が優先順位が高い)
- 結果だけでなくプロセスを評価する: 目先の勝敗だけでなく、基礎能力の向上や努力する姿勢を褒めることで、子供たちのモチベーションを高めましょう。
- 多様な運動機会を提供する: 特定のスポーツだけでなく、様々な運動や遊びを通して、多様な動きを経験させることが大切です。
- 専門家の意見を取り入れる: 必要に応じて、専門のトレーナーや指導者のアドバイスを受けながら、適切なトレーニング計画を立てましょう。
5大基礎能力を効果的に鍛えるおすすめスポーツ

さて、あなたは上表から一番効果的に5大運動機能を鍛えれるスポーツは何だと思いますか?
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お子様やご自身のパフォーマンス向上にお役立て頂ければ幸いです。
まとめ
スポーツにおける5大基礎能力は、あらゆる運動能力の土台となる重要な要素です。これらの能力をバランス良く高めることで、スポーツパフォーマンスの向上、怪我の予防、そして生涯にわたるスポーツライフの基盤を築くことができます。さらに、「神経科学」と「解剖学」の視点からこれらの能力を理解することで、トレーニングの効果を最大限に引き出し、より効率的にパフォーマンスを向上させることが可能になります。
本記事で紹介したトレーニング例を参考に、ぜひ日々のトレーニングに取り入れてみてください。
お子様の可能性を最大限に引き出し、ご自身のパフォーマンス向上に繋がることを願っています。
上記でご紹介した内容は、地域クラブでも体験可能です。又、指導方針や育成方針についても上記の内容を網羅している総合的なカリキュラムとなっています。