監修:管理栄養士 佐々木氏
(某大学内の食堂にて、学生の栄養管理・献立作成・調理を一手に担う)

はじめに──「がん」は自分で遠ざけられる病気

がんは遺伝によって決まる病気ではありません。実際には、その要因の70%以上が生活習慣、特に“食生活”に起因しているという報告もあります。
本シリーズでは、がん発症リスクと日常の「食との関係性」を、日米の比較や科学的データを元に紐解いてきました。
ここでは全5話の要点と、読者が今すぐ実践できるヒントをまとめました。
第1話:がんは“食”で防げるか?──日米の比較から見える真実
アメリカでは過去20年間、がん死亡率は着実に低下。一方、日本では依然として高止まり、特に胃がん・大腸がん・肝がんのリスクが顕著です。
- 米国は「予防重視型」:早期検診・生活改善指導・栄養教育が徹底
- 日本は「治療依存型」:診断が遅れ、治療中心になる傾向
これらの背景には、「食の構造の違い」や「健康リテラシーの格差」があります。

第2話:日本の食卓に潜む“リスク”──加工食品とがんの知られざる関係
日本は「手作り志向」と思われがちですが、実際には高塩分・高保存料の食材やレトルト商品が台所を支配しています。
- 漬物、練り物、味噌汁、加工肉などに含まれるナトリウムや発がん性保存料
- コンビニ・外食の「見た目は健康風」メニューにも落とし穴

第3話:「食べてはいけない」は本当か?──超加工食品の4分類とその影響
食品は以下の4つのグループに分類されます(NOVA分類)。
- グループ1:非加工・最小加工食品
野菜、果物、精白していない穀物、豆類、ナッツ - グループ2:加工食品原料
食塩、砂糖、植物油、精白小麦粉 - グループ3:加工食品
缶詰野菜・果物、単純なパン、干物など - グループ4:超加工食品(ウルトラプロセス)
菓子パン、スナック菓子、インスタント食品、清涼飲料水
このグループ4の摂取が多い人ほど、がん・肥満・うつ病の発症率が高まるとする多くの国際論文があります。

第4話:砂糖の正体──あなたの“食欲”は操られている
砂糖には依存性があります。摂取すると脳の報酬系(ドーパミン系)が刺激され、また欲しくなる──この構造は、タバコやアルコールと同じです。
さらに、インスリンスパイク(血糖値の急上昇)が、がん細胞の成長に関与する可能性も報告されています。

第5話:未来を守る、今日からの選択──日米比較から見えた“健康習慣の分岐点”
あなたが今日何を食べるか、どのように動くか──その小さな積み重ねが、5年後、10年後の“がん予防”につながります。
- 栄養バランスの取れた定食中心の食事
- 「ながら運動」や軽い有酸素運動を習慣化
- コンビニではラベル表示をチェックする

まとめ:次世代のために、今できること
このシリーズを通じて見えたのは、食事は“自分の健康”だけでなく“子どもたちの未来”にも影響するという事実です。
今後は、次のようなテーマについても取り上げていく予定です:
- 子どもの朝食欠食と学力・集中力の関係
- 学校給食の地域格差と栄養バランス
- デジタル社会の中で不足しがちな「子どもの運動と脳発達」
家庭の食卓が未来の“公共の健康”を支えている──。
今こそ、あなたの選択が誰かの健康を守る第一歩になります。