日本の構造問題に挑む：横浜市学校施設が示す「地域スポーツ・未来投資」への転換点

生徒の安全と施設の未来を考える、重要な転換期

現在、私たちは横浜市内のある中学校のテニスコート問題を契機として、市会議員と連携し、横浜市会への請願書提出を進めました。

この事案は、単なる施設管理の不備という側面だけでなく、日本の公共セクターが抱える構造的な課題、すなわち「硬直した組織運営」と「予算配分の非合理性」を乗り越え、真に未来に資する公共投資へと転換するための重要な機会を提供しています。

過去から組織的なガバナンス不全が指摘されてきた横浜市教育委員会において、この課題を建設的に解決することが、日本の地域スポーツ、ひいては社会全体の構造改革の試金石となります。

Part 1：構造問題としての「二重の非合理」

この問題は、なぜ危険が放置され、非効率な投資が生まれるのかという、日本社会の組織硬直性を象徴しています。

1. 縦割り行政が招いた「安全の不作為」

専門家がテニスコートの深刻な構造的瑕疵と生徒の負傷リスクを報告したにもかかわらず、2年以上にわたり抜本的な対策が取られず、結果として生徒の負傷事故が連続しました。これは、「公の営造物の安全管理」という責務に対し、「予算の要求と承認」の縦割り構造が機能不全を起こし、リスクを認識しながらも行動できない組織の硬直性を露呈しています。

2. 「公平性」という大義名分下の予算の硬直性

【市民の皆様への問いかけ】 あなたは、多額の税金が投入され、市内全小中学校に昇降機が新設されていることをご存知でしたか？

生徒の生命と安全に関わるテニスコートの改修を優先せず、既存のスロープや電動アシストカートといった代替手段で十分対応可能な施設にまで、高額な昇降機新設が「全校一律の公平性」という大義名分のもとで推し進められています。

• 合理的設置： 昇降機設置は、バリアフリー法やインクルーシブ教育の趣旨から、階段しか昇降手段がない施設など、真に代替手段がない学校への設置は合理的です。
• 非合理的設置（予算浪費）： 一方で、スロープなど既存の代替手段が既に機能している学校への設置は、「税の適正利用の原則」の範囲を超え、予算浪費と見なさざるを得ません。

この非合理な予算が、生徒が負傷する危険な施設の放置を招いています。2025年4月で概ね8割以上が設置完了し、2026年4月に全校設置が完了予定として、現在残りの学校で工事が進んでいるという事実は、この予算配分の硬直性を示す決定的な証拠です。

• 構造的課題： 「公平性（一律）」を優先し、「合理性（費用対効果・最小コスト）」を軽視する行政の予算執行構造は、持続可能な行財政運営を阻害する日本の根深い問題です。私たちは、真の公平性とは、最も危険な場所から優先的に改善することであると提言します。
• 可能な行財政運営を阻害する日本の根深い問題です。私たちは、真の公平性とは、最も危険な場所から優先的に改善することであると提言します。

※昇降機導入背景：バリアフリー法、インクルーシブ教育などが挙げれ、直近では中学校全員学校給食（行政政策、市民選公約、横浜市長）のもと、教育委員会は昇降機を有効活用し教室迄配膳するといった運用設計としているもの。

Part 2：未来志向の提言と「安全な資産」の創造

ELSAは、この問題を「より良い未来を創造する機会」と捉え、以下の建設的な解決策を提言し、行政の変革を促しました。

1. 予算配分の原則を是正し、安全を未来への投資とする

私たちは、昇降機導入の趣旨は理解しつつ、バリアフリー法により既存施設の利用（スロープ）や、給食運搬等の上下移動であれば、電動アシストカートなどの代替案と比較し、昇降機新設の費用対効果の検証と予算執行の是正を強く要求しました。

そして、その予算を、生徒の安全を守るテニスコート改修、および地域スポーツに資する遮熱コート化、多目的利用化といった未来への投資に最優先で充当するよう提案しました。

2. 行政のタテ割りを打破する「共同検討」

私たちは、改修後のテニスコートが「地域のスポーツ振興と防災拠点機能」や［部活動の拠点校化］などを担う公共資産となるよう、横浜市（スポーツ・地域振興部門）と教育委員会がタテ割りの壁を越えて共同で検討委員会を設置し、建設的な利活用計画を策定することを提言しています。

結論：ELSAの役割は「変革へのナビゲーター」

この構造的な問題を解決するには、過去の不作為（法的責任）を追及しつつ、未来の合理的かつ建設的な政策を提案し続ける、専門的な監査機能が不可欠です。

ELSAは、この「法的監査」と「組織開発・政策提言」を両立させ、硬直した行政組織を未来志向の行動へとナビゲートします。

テニスコート問題の解決を通じて、横浜市から日本社会の構造的課題に挑む新しいモデルを創出することを目指します。

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この横浜市の事案は、日本全国の行政が抱える構造的な問題の縮図です。

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